学校給食の安全性って信用してもいいの?

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学校

平成26年度、国公私立学校において学校給食を実施している学校数は全国で31,021校、実施率は94.8%という報告がなされています(文部科学省)。
日本のほとんどの子供たちは学校給食を口にしているということです。
簡単に計算すると、1日3回、つまり1週間に21回食事を摂るとした場合、5日間登校して毎日給食を食べると、全体の23.8%程度は給食でまかなっていることになり、食生活において結構大きなウエイトを占めていることが分かります。
そんな中、食物アレルギー対応での死亡事故や食中毒事故のニュースを耳にすることもある学校給食。
果たしてその安全性は信用できるものなのでしょうか?
4つの観点から見てみましょう。

1.食物アレルギー

■事例
平成24年12月20日(木)、東京都調布市立富士見台小学校5年生の女の子が、給食後体調を悪くして救急搬送され、数時間後死亡が確認されました。行政解剖の結果,死因は食物アレルギーによるアナフィラキシーの疑いということでした。おかわりして食べた、じゃがいものチヂミにアレルゲンである粉チーズが入っていたことによるものです。

■事故の原因と対策
検証委員会によると、事故の直接的な原因と思われるものとして、以下2つに大きな問題があったと報告されています。

・除去食の提供(おかわりを含む)方法
└最初に給食を渡す際、チーフ調理員が女の子にどの料理が除去食であるかを明確に
 伝えていなかったこと。
└おかわりの際に担任が除去食一覧表(担任用)で確認しなかったこと。
└保護者が女の子に渡した献立表に,除去食であることを示すマーカーが引かれて
 いなかったこと。

・緊急時の対応
└担任がエピペン®を打たずに初期対応を誤ったこと。
└養護教諭が食物アレルギーによるアナフィラキシーであることを考えず、
 エピペン®を打たずに初期対応を誤ったこと。

再発防止のために、以下のようなことが提言されています。

・命に関わる可能性のある食物アレルギーについて、学校職員をはじめ、
 児童を含むクラス全体の情報共有

・配膳で本人に除去食が何かを明確に伝えること、食器の色などで除去食を
 一目瞭然にすること

・(国に対し)児童・生徒の緊急時の対応を図るため、大規模校や食物アレルギーなど
 配慮を要する児童・生徒が多い学校には、看護士又は保健師といった専門的知識や
 経験のある人材の配置について働きかけること。

・(国に対し)食物アレルギーに対応するための給食調理現場における具体的な
 作業マニュアルが存在しないので、国が率先して具体的な作業マニュアルを
 作成するよう関係機関に働きかけること。

その後、実際に文部科学省により「学校給食における食物アレルギー対応指針」が作成されるなど、事故防止のための取り組みがなされています。

2.食中毒

■事例
2014年1月15日、静岡県浜松市内の小学校等において摂取者数8,027名、患者数1,271名の大規模食中毒が発生しました。

■事故の原因と対策
原因食品は食パンで、病因物質としてノロウイルスGIIが検出されました。体調不良者が多数発生している学校すべてにおいて同一の業者が製造したものが提供されていました。この施設では、スライス作業後食パン1枚1枚を手に取り、異物混入を確認する検品作業を行っていたのですが、この入念な検品作業により食パンに触れる機会が増え、大量の食品が汚染されてしまったようです。
おそらく原因は、不十分な手洗いによる手袋の汚染、手袋交換の頻度が少なかったことによる汚染の拡大、作業着が不衛生であったことによる汚染等によるものだとされています。

この施設は一時営業禁止処分となり、その後、施設に対して清掃および消毒、従事者の衛生教育、体調不良者のチェック方法の改善、作業着の衛生確保、手袋交換のマニュアル作成等の指導を行い、改善が確認されたため営業禁止を解除されています。

3.放射性物質

■事例
2016年5月、栃木県宇都宮市の市立小学校で給食として提供されたタケノコから、国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)の2倍を超える放射性セシウムが検出されました。

■事故の原因
原因は大きく2つあり、

・国が定めた「学校給食衛生管理基準」に沿って、食材は調理当日に仕入れており、
 学校農園の野菜以外は当日の検査となっていた。そのため、異常が分かるのは給食後だった。

・卸売業者にタケノコを納めた出荷者の男性が、出荷制限を受けている大田原市産の
 タケノコを宇都宮市産に含めていた。この男性は、大田原市産が出荷できないことを
 「知らなかった」と県に話している。

以降、こうした事態を改善するために、宇都宮市は検査体制を前日に前倒しし、問題があった場合でも子供たちが口にしないような対応ができる仕組みに見直しました。

4.食品添加物、農薬

■事例
小麦粉は、含有する灰分(ミネラル)の量によって、特等粉、1等粉、2等粉、3等粉、末粉に分かれており、学校給食のパンなどは安い3等粉を使用しています。
3等粉を使えば確かに安いパンが作れますが、3等粉は、残留農薬が最も付着している小麦の外皮に近い部分が使われています。
また、安いパンに使われる小麦粉の原料となる小麦は米国産が大半で、現地で船積みされる前に、有機リン系殺虫剤で殺菌・消毒されています。つまり、殺虫剤も多く残留している可能性が高いのです。

また、3等粉ではおいしいパンは作れないので、おいしくするために、食品添加物などの力を使っています。
例として挙げられるのは、イーストフード、臭素酸カリウム、ショートニング、ファットスプレッド、乳化剤、砂糖混合異性化液糖、着色料、酢酸ナトリウム、加工でんぷん、など多数あります。
摂りすぎると発がん性があると言われている物質もあります。

あなたの手で安心・安全な食材を食卓へ

食べ物は私たち人間の体に直接入れるものなので、時として命に関わることもあります。この記事から、子供たちが毎日口にしている学校給食も、様々な危険と隣り合わせだということが分かりました。
何かが起きてしまってからの対応となっている部分もあり、不安は残りますが、その都度改善に取り組んでいるので私たちは引き続き注意して見守っていきましょう。

そして、食生活といえば、学校もそうですが家庭における食事も重要です。
食物アレルギー、食中毒、放射性物質、食品添加物、農薬、…自分や家族の健康を守るためには、私たち自身が、食材の選択、調理時の工夫をしていかなければなりません。

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