「良く噛んで食べなさい」と、小さい頃から両親や祖父母に言われてきた、という人も多いのではないでしょうか。ところが現代人は、ひと昔前に比べると噛む回数が著しく減ってしまっているようです。「良く噛まない」ことで、身体にはどんな影響が出るのでしょうか?
現代人は噛まなくなっている?
早速ですが、ご自身の食事のことを振り返ってみてください。「良く噛んで」食べていますか?「良く噛む」の定義は明確ではありませんが、一般的には一口につき30回が目安と言われています。
現代人は戦前に比べて、食事の時に噛む回数が半分以下になってしまったと言われているほど、噛む回数が減ってしまっています。なぜ、そんなに減ってしまったのでしょうか?
・忙しくて食事にゆっくり時間をかけていられないから
・ある程度噛んだら我慢できずに飲み込んでしまうから
・別に噛む必要もなく飲み込めてしまうから
などの理由もあると思いますが、いちばん大きな原因として、
「柔らかい食べ物が多くなったから噛む必要がなくなった」
ことが挙げられると言われています。
確かに戦前の食べ物は、雑穀類やイモ類、根菜類など、良く噛まなければ飲み込めない・消化できない食べ物が多く、その頃に比べると食生活が多様化した現代においては、柔らかい食べ物が増え、そこまで噛む必要がなく飲み込めてしまう食事(食材)が増えていますね。
さらに雑穀類やイモ類、根菜類を食べるにも、調理方法や調理器具の発達により、固いものを充分に柔らかくすることができたり、大きな食べ物も食べやすいサイズにカットするようになったことなども影響しているのかもしれません。
いずれにせよ現代人は「噛まなく」なってしまったという事実を覚えておきましょう。
「良く噛む」ことで得られる効果について
それでは、良く噛むことで得られる具体的な効果について、代表的なものをご紹介しましょう。
■胃腸を助ける
まずはなんと言っても「消化が良くなる」ことです。良く噛むことで、「アミラーゼ」という消化酵素を含んだ「唾液」の分泌量が増え、お米などのでんぷんが糖に変わるなど、すでに「口の中から消化が始まる」わけです。そうすると当然、胃や腸にかかる負担が少なくなります。
しかし、良く噛まずに飲み込んでしまうことで、胃腸にかかる負担が大きくなり、胃痛や胃酸過多による胃潰瘍、あるいは胃食道逆流、さらには胃がんの原因にもなると言われています。
■ダイエット・小顔効果
有名な話しなのでご存知の方も多いと思いますが、良く噛むことによって「満腹中枢」が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。また、良く噛むことはあごなど口の周りの筋肉を充分に動かすことになりますので、顔の引き締めや小顔効果が期待できると言われています。
しかし、良く噛まずに早食いしてしまう人は、満腹中枢が満足する前に必要量以上の食事を摂ってしまい、肥満に繋がったり、良く噛まないために顔の筋肉が衰えてたるんでしまうといった悪影響が考えられます。
■虫歯予防
消化を助ける働きだけではないのが、「唾液」のすごいところ。虫歯菌が作りだす歯を溶かす「酸」を薄める働きを持っているため、良く噛んでたっぷりの唾液を分泌することは、虫歯の予防という観点からも非常に効果的であると言われています。
■脳が活性化する
メジャーリーグの野球選手など、プレー中にガムを噛んでいる場面を良く見かけますよね。実はあれは“ポーズ”だけでなく、「良く噛む」ことによって身体の緊張がほぐれて脳が活性化し、集中力や記憶力が増す、あるいは精神的に安定するとも言われているのです。
食事にの時に心がけたいこと
良く噛むことで得られる効果はとても大きいものです。ぜひ実践していただきたい「一口につき30回以上噛む」ことですが、これを続けるために心がけたいことがいくつかあります。
■「食事には充分に時間をかける」
時間がない中で食事をしなければならない場合、どうしても早食いになってしまいますよね。良く噛んで食事をするためには、できるだけ時間に余裕を持って食事を摂るようにしましょう。
もしどうしても忙しい場合は、良く噛むことで満足感も得られますので、食事の量を減らす、ということをぜひ試してみてください。
■「噛み応えがある食材を取り入れる」
柔らかい食べ物は、どうしてもすぐに飲み込んでしまいたくなりますが、かといって全ての食材を固いものにする必要もありません。なにか一つ、噛み応えがある食材を取り入れることで必然的に噛む回数が増えていきます。
■「小さくカットしすぎない」
野菜は「コロコロ」よりも「ゴロゴロ」を心がけましょう。噛まなければ飲み込めませんので、自然と噛む回数も増えますし、大きい方がその野菜の旨味や風味もより実感でき、食事がより楽しくなります。
さいごに
今回は良く噛むことの大切さをご紹介しました。「良く噛む」だけであれば、今日から今すぐにでも実践できることですので、ぜひ取り入れてみてください。
また、特に小さいお子さんがいる家庭では、どれくらいの固さや大きさであればしっかり噛むのかよく観察しながら、食事を与えるようにすると良いかもしれませんね。
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